新翻訳事業について

聖書事業懇談会 新しい聖書翻訳の課題と展望 樋口 進氏

樋口 進氏
2014年5月22日
於:毎日インテシオ

Ⅳ、新しい翻訳の課題

今回の新しい翻訳では、新共同訳の成果を生かしつつ、多くの教会で受け入れられるような原文に忠実で、かつ分かりやすく自然な美しい日本語の翻訳を目指しています。「お前」「お前たち」は、抵抗のある人も多く、極力避けるようになります。ヘブライ語にもギリシア語にも代名詞や接続詞が多く出ますが、省ける所は省いて自然な日本語にします。語順も必ずしも原文の語順通りではなく、入れ替えて、より自然な日本語にします。例えば、イザヤ書40:2では「語りかけよ、エルサレムの心に/呼びかけよ、これに」が直訳ですが、「エルサレムの心に語りかけ/彼女に呼びかけよ」と自然な日本語にします。

また書名、固有名詞などは、原則として新共同訳を踏襲します。ただ、「コヘレトの言葉」「使徒言行録」等は、さらに検討し、多くの教会で受け入れられるものとします。

今回の翻訳は、「スコポス理論」に基づて行われています。これは、オランダの聖書翻訳指導者のローレンス・デ・フリス氏が提唱したものです。「スコポス」というのは、目的、役割を意味します。そこで、今回の翻訳は、日本の教会の礼拝で使うということを主なスコポス(目的)とするということです。ですから、一般の人には分かりにくくても、教会でなじんできた語は使用することになります。例えば、「主」、「義」、「贖い」などは、そのまま使います。

原文に忠実に、かつより自然な日本語にという方針ですので、最初から、原語担当と日本語担当が共同で作業をします。その後、朗読者チェックが行われます。その後、翻訳者委員会において、数人の原語担当者と日本語担当者でさらに訳文を検討します。その後、いろんな専門家からなる編集委員会が行われ、さらに訳文が検討されます。さらに、パイロット版が出されて広く意見を聴取します。

今回の翻訳においては、注が付けられます。これは、古代訳などを参考にして原文を読みかえる場合です。ただし、教会の礼拝で使うことが主な目的ですから、最小限のものとし、解説などは施されません(重要語については巻末で説明されます)。

また、礼拝で使われることから、聖書としての荘重さを出す訳文を工夫し、神に対しては、敬語を使用します。例えば、「主なる神は言われる」「神は地をご覧になった」「預言者に御手(あるいは主の手)が臨んだ」等です。

以上、新しい翻訳においては、教会の礼拝で使われることを主な目的とし、それにふさわしい、できるだけ原文に忠実で、かつ自然で美しい日本語になるようにと努力しています。そしてなによりも、多くの教会に受け入れられるように、作業の初めには聖霊の助けを求めて祈りをもって行われています。

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