新翻訳事業について

日本聖書協会 講演会 原文の味・訳文の味 柊 曉生氏

柊 曉生氏
2015年3月6日
於・フクラシア東京ステーション

(3) 唇と言葉(創世記11章1節)

「世界中は同じ言葉(唇)を使って、同じように話していた(ダバル)」(新共同訳)
「全地は同じ発音(唇)、同じ言葉(ダバル)であった。」(口語訳)

バベルの塔の物語はたった9節の短い記事ですが、ご存じのように言葉が通じなくなって塔の建設が中断されるという有名な話です。この物語の中では、 鍵言葉 キーワード である唇/言葉、全地、そこ、主などの語句がそれぞれ5回ずつ出てきます。

旧約聖書の中で言葉をあらわす代表的なヘブライ語はダバルという単語で、これは「こと」と「ことば」の両方をあらわし、日本語の「こと」と「ことば」が関連するのによく似ています。しかしながら、バベルの塔で混乱させられる(バラル)のはこのダバルという単語ではなく、元来は唇を意味するサファーという単語です。サファーは唇、言語、端などを、ダバルは言、事、話などを意味します。 

それではなぜこの唇という単語がバベルの塔の物語の中で使われるのでしょうか。それは旧約聖書の中では、言語が不明瞭で通じない、よくわからずに不可解である場合において、この単語が用いられるからです。バベルの塔の物語はまさに言語が通じず、建設が中断される話ですから、そのために唇の語が用いられているわけです。 

たとえば、エゼキエル書3章5-6節では唇が不可解な言葉として、舌が難しい言葉として使用されています。「まことに、あなたは、不可解な言語(唇)や難しい言葉(舌)を語る民にではなく、イスラエルの家に遣わされる。あなたは聞き取ることができない不可解な言語(唇)や難しい言葉(舌)を語る多くの民に遣わされるのではない。」(新共同訳)

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