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『ユダ福音書』の異端が明らかに

ペルシャ湾岸地域聖書協会のアラビア語プログラム・コーディネーター であるヨウセフ・サブリィ氏。2007年6月に「『ユダの福音書』の 偽りと題してクウェートにてアラビア語で講演を行った。

クウェート――「誤りや偽りと直面した時には、それ本来の真実は何であるかを問いかけるのが良い」

これは、先日ペルシャ湾岸地域聖書協会(BSG)のクウェート事務所が『ユダの福音書』に関する講演会を行った際の公式見解である。

6月に催された講演会にはこの地域のカトリック、正教会、福音派の教会から160人ほどが出席し、聖書協会のアラビア語プログラム・コーディネーターであるヨウセフ・サブリィ氏が、「『ユダの福音書』の偽り」と題した講演をクウェートの国立福音教会で行った。

聖書協会が講演会を行うことにしたのは、近年「新しく発見された福音書」に関する一般向けの書籍や映画の発刊ラッシュを受けてのことだった。そうした福音書の信仰や正典成立の歴史についてさまざまな主張が対立・分裂した結果、多くのクリスチャンにとっては論争となっている事柄の真の意味が不明瞭な状態のままである。

『ユダの福音書』はコプト語テクストの断片で、それは3世紀まで遡ることができる。これによれば、ユダがイエスを裏切ったのは、イエスご自身の要求であり、それはイエスがその神聖な運命を成就するためであると示唆されている。その断片は、アメリカのナショナル・ジオグラフィック協会が製作したテレビ用のドキュメンタリー番組で取り上げられた。

講演会の中でサブリィ氏は『ユダの福音書』発見の物語とこの書がグノーシス主義に由来していることを説明し、ここに異端思想があることを分析してみせた。

この写本は1978年にエジプトの洞窟で発見されたが、それが学者たちの注目を集めるまでにはなお数年を要した。古物商の間をしばらくたらい回しにされた後―その間、状態はどんどん劣化し―ようやくある収集家の手によりニューヨークの貴重品保管庫に預けられた。2000年にスイスの古物商がその重要性に気づいて購入し、スイスにあるマエケナス古美術財団に寄贈したのである。

『ユダの福音書』が正典福音書と本質的に違うのは、イスカリオテのユダを裏切りの体現者としてではなく、イエスが最も信頼する弟子として描写している点においてである。つまり、彼こそイエスの最良の理解者であり、イエスの願いで彼を当局に引き渡して十字架につけられるようにすることで、生身の肉体を脱ぎ捨てて霊的世界に戻る手助けをしたというのである。

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講演会に参加した160人の聴衆。湾岸諸国のアラビア語を話すキリスト教会や集会などから集まってきた。

ユダについてのこの描写を認めないという点でサブリィ氏は他のクリスチャンの学者たちと歩調を合わせていた。

この写本の成立年代は220年から340年の間と推定され、グノーシス主義者が記したと考えられている。彼らは2世紀のキリスト教における教派で、その考え方は長い間異端と見なされてきた。これとは別のグノーシス主義的な文書である『マグダラのマリアの福音書』は、ダン・ブラウン氏が小説『ダ・ヴィンチ・コード』の中で使用した典拠の一つである。

サブリィ氏はまた、初期教会がどのようにして特定の文書を正典として認めるようになったかの過程についても説明した。話の締めくくりとして正典福音書に従ったユダの性格や役割に関する伝統的見解を明らかにした。

その後参加者から、『ユダの福音書』に対して理路整然と説明される機会が設けられたことを肯定的に評価する声があがった。

クウェートのアルメニア正教会の会員であるシャント氏は以下のように述べた。「以前はこうした問題に対して確信を持って答えられなかったが、今ならこのような異端の誤った教えに対して反駁することができます。このセミナーは良いタイミングで開催されました。」

クウェートの国立福音教会のラフィク・ミカエル氏はこう付け加えた。「セミナーの終わりには、私たちの聖書にこれまで以上の深い信頼を得ることができました。」

「このような集まりに感銘を受けました。」と述べたのは聖家族カトリック教会のアンガリウス神父で、続けて「それ以上に感銘深いのは、聖書協会を通してつながっていることです。聖書協会のその役割を有難く思います。」と述べた。

(聖書協会米国地区の翻訳コーディネーターであるビル・ミッチェル博士による「『ダ・ヴィンチ・コード』と聖書」と題する論文については、ワールドレポート2006年度のNo.359参照)

(ワールド・レポート2007年 8月号vol.2)


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