― イースター物語 ―

 ヘロデ王が死ぬと、イエスは両親と共にガリラヤ地方のナザレ村に戻り、そこで少年・青年時代を過ごした。30歳になるとイエスはガリラヤ中を回って、神の教えと神の国の福音をのべ伝え始めた。そして民衆のありとあらゆる病気と患いをいやし、大勢の群集が彼に従った。しかしイエスの教えは律法の順守を説く律法学者の地位を脅かすものであった。
 エルサレムでの十字架の死を知りながらも、イエスは弟子たちと共に群集の歓声に迎えられエルサレムに入城した。イエスをねたみ、殺そうと考えていた律法学者たちに弟子の一人であるイスカリオテのユダが銀貨30枚でイエスを売り渡したため、イエスは捕らえられ不当な裁判を受け、その後総督ピラトによる尋問を受けた。イエス33歳の頃であったといわれる。

 祭りの度ごとに、総督は民衆の希望する囚人を一人釈放することにしていた。ピラトは人々が集まってきたときに尋ねた。
ピラト 「どちらを釈放してほしいのか。バラバか、それともメシアといわれるイエスか。」
群 衆 「バラバを!」
 このバラバという男は、都に起こった暴動と殺人の罪で投獄されていた。
ピラト 「いったいどんな悪事を働いたと言うのか。この男には死刑に当たる犯罪は何も見つからなかった。」
群 衆 「十字架につけろ!十字架につけろ!」
 ピラトはバラバを釈放し、イエスを彼らに引き渡して好きなようにさせた。


インデックス
前書き 〜 死刑の判決が下る
イエス十字架上で死す
空っぽの墓にて
疑うトマス 〜 弟子達を派遣する
あとがき
オリジナルの聖書の個所を表示します >> 聖句ルカによる福音書23章13〜25

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聖句と用語集

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― イースター物語 ―

律法

 広義には、「モーセ五書」と呼ばれる旧約の創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記の五書に含まれる神の教えと戒めのこと。イエス・キリストは、律法を廃止するためではなく完成するために来たと宣言し、律法の中で最も重要な掟は愛であると説き、当時のユダヤ社会において差別されていた癩病の患者を治したり、罪人と食事をともにした。

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― イースター物語 ―

律法学者

 律法を専門に研究し、解釈して民衆に教える教師。優れた学者は多くの弟子を持ち、社会的に尊敬される地位にあった。しかしイエスの時代には、彼らが律法を重視するあまり律法の真意を見失い、他者にも律法の厳しい順守を要求したため、イエスは彼らを公然と非難した。

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― イースター物語 ―

メシア(救世主)

 「メシア」とは本来、ヘブライ語で「油を注がれた者」という意味。イスラエルでは油を頭から注ぐ儀式は、王に任じられる場合に最も多く行われた。後に神の決定的な救いをもたらす「救い主」を指すようになった。新約聖書には、イエス・キリストが人の罪をあがない、世を救う為に十字架の死をとげたメシアであると記されている。なお、「キリスト」とはメシアのギリシア語訳である。

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― イースター物語 ―

ルカによる福音書23章13〜25

 死刑の判決を受ける
 ピラトは、祭司長たちと議員たちと民衆とを呼び集めて、言った。「あなたたちは、この男を民衆を惑わす者としてわたしのところに連れて来た。わたしはあなたたちの前で取り調べたが、訴えているような犯罪はこの男には何も見つからなかった。ヘロデとても同じであった。それで、我々のもとに送り返してきたのだが、この男は死刑に当たるようなことは何もしていない。だから、鞭で懲らしめて釈放しよう。」しかし、人々は一斉に、「その男を殺せ。バラバを釈放しろ」と叫んだ。このバラバは、都に起こった暴動と殺人のかどで投獄されていたのである。ピラトはイエスを釈放しようと思って、改めて呼びかけた。しかし人々は、「十字架につけろ、十字架につけろ」と叫び続けた。ピラトは三度目に言った。「いったい、どんな悪事を働いたと言うのか。この男には死刑に当たる犯罪は何も見つからなかった。だから、鞭で懲らしめて釈放しよう。」ところが人々は、イエスを十字架につけるようにあくまでも大声で要求し続けた。その声はますます強くなった。そこで、ピラトは彼らの要求をいれる決定を下した。そして、暴動と殺人のかどで投獄されていたバラバを要求どおりに釈放し、イエスの方は彼らに引き渡して、好きなようにさせた。

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注:ここで登場するガリラヤの領主ヘロデは、
イエス誕生の時ユダヤの王であったヘロデとは別の人物です。