三重禍の中で共に祈りを

人々の歓声と興奮がここ東京を覆う−。2020年の夏は本来ならばそのような時を過ごしているはずでした。【新型コロナウイルスのパンデミック】によって、それとは真逆の、不安と落胆の空気が日本だけでなく世界中を覆っています。海外渡航、イベント開催、国内移動などが制限されるこのような日々は、いつまで続くのでしょうか。

【豪雨による洪水】という自然災害が、九州の熊本・鹿児島や隣国の中国で起きています。熊本では土砂崩れや浸水被害が住宅6,200棟以上になり、復旧作業が続いています。世界で3番目に長い中国の長江では、すべての流域で水位が大幅に上昇し、洪水被害が起きています。治水事業として2003年に建設した三峡ダムも危険な状態と報道されました。UBS(聖書協会世界連盟)からも祈祷課題として取り上げられました。

アフリカ・中東・インドで起きているのが【食糧を食い尽くすバッタの襲来】です。東アフリカでサバクトビバッタが大量発生し、大群が農作物を食い荒らし、食糧危機を招いています。バッタの大発生は「70年に一度」起きると言われ、あるテレビ番組では聖書の記事を引用し、「この地域では歴史的に繰り返し起きている災害である」と説明していました。これはモーセの時代の記録です。

「もしもあなたが私の民を去らせることを拒むのなら、私は明日、あなたの領土にばったを送り込む。ばったが地の面を覆い、地面を見ることができなくなる。そしてそれは、雹を免れて残されていたものを食い尽くし、野に生えているあなたがたの木をすべて食い尽くす。」(旧約聖書:出エジプト記10:4-5)

*注:新共同訳聖書まで「いなご」と訳されていたこの語は、聖書協会共同訳から「ばった」になりました。

現在このバッタの襲来は、南アジアのパキスタンやインド、中国まで被害が及んでいます。国際連合食糧農業機関(FAO)の報告によると、被害はさらに拡大し、今年は東アフリカ諸国だけでも2,500万人以上の人々が食糧危機に直面するであろうと予測されています。

国際連合食糧農業機関(FAO)ニュース:
http://www.fao.org/japan/news/detail/en/c/1277462/

災害・災難・禍は、歴史的にみてもさまざまな時代に起きています。今回の三重禍は「70年または100年に一度起きるもの」と言われていますが、その終わりはまったく見えていません。2020年の状況は100年後に何らかの意味を持つ出来事と評されるのでしょう。時に神さまは深い意図をもって苦しみをもお与えになる。この困難にはかならず意味があると信じ、共に祈り、共に助け合いながら、信仰に立ち続けたいと思います。人間はどの時代でも災害による試練を乗り越えてきました。その事実に目を留めつつ、最後にイスラエルの王であったソロモンの祈りの言葉を引用します。

主の平和。

「この地に飢饉が起こり、疫病がはやり、立ち枯れや赤さび病、群がるばったや、食い荒らすばったが発生し、敵がこの国の町を包囲し、あらゆる災い、あらゆる病気が生じたとしても、あなたの民イスラエルが、皆それぞれ心に痛みを抱え、この神殿に向かって両手を広げて祈るなら、どのような祈りも、どのような願いも、あなたは住まいである天でそれを聞いて赦し、答えてください。あなたは人の心をご存じですから、どの人にも、その人の歩んできた道に応じて報いてください。まことにあなただけが、すべての人の心をご存じです。そうすれば、彼らはあなたが先祖にお与えになった土地で生き長らえる間、いつもあなたを畏れ敬うでしょう。」(旧約聖書:列王記上8:37-40)

2020年7月21日