霊と知恵に満ちた評判の良い人

2021年、最初の大きな出来事は新理事長の選出でした。その前の月に、理事には投票用紙の提出を依頼していました。年をまたいで届いた封筒を監事立ち合いのもと開封し、投票結果を確認しました。2020年のアメリカ大統領選挙で郵便投票の不正疑惑が取りざたされたため、私たちなりに慎重に開票の手順を踏みました。私は他の会合に出席したため、開票には立ち会わず、直後に結果を知りました。

理事長の交代は24年ぶりです。

12月の本稿で書きましたが、大宮溥前理事長は旧約聖書ヨシュア記14章の言葉のごとく「主に従い通した」人生を歩んだカレブのような人でした。次はどなたが理事長になるのかと、私は各方面から何度も尋ねられていました。

理事長は、総主事が決めるものでも職員の人気投票で決めるようなものでもなく、キリスト教界の様々な教派の代表者(または個人)から構成される評議員、そしてその中から選ばれた11人の理事によって決められます。尋ねられるたびに「いろいろなお顔は浮かびますが、まったくわかりません」と答えていました。いざ開票結果を速報で知らされると、私の予測とは異なっていたため驚き、思わず「そうでしたか。本当に的確な方を神様はお選びになった!」と、神様を崇めました。すでに公表されているように、日本聖書協会の第7代理事長に石田学先生が選ばれたのです。

「そこで、きょうだいたち、あなたがたの中から、霊と知恵に満ちた評判の良い人を七人探しなさい。彼らにその仕事を任せよう。」(使徒言行録6:3)

真っ先に思い浮かんだのが上記の使徒言行録の言葉でした。「評判の良い人」という言葉は、使徒言行録のみに記された訳語です。ここでは「霊と知恵に満ちた」という条件が加えられています。日々の分配(労働)は単なる雑務ではない。それによって「...神の言葉はますます広まり、弟子の数はエルサレムで非常に増えていき、祭司も大勢この信仰に入った」(6:7)とあります。そのような大事な働きによって、教会の歩みである伝道と宣教は神様に祝福されたという証しがここにあるのです。日本聖書協会の働きも、最前線に立つ教会の伝道と宣教に寄与するものであるようにといつも願っています。

石田学先生は日本ナザレン教団の牧師・神学教師であり、聖書協会共同訳の翻訳事業にも尽力されました。日本キリスト教協議会(NCC)教育部でも理事長として重責を担い、日本宣教学会では理事を務めています。エキュメニカルな視点で教会のさまざまな働きに関わり、多くの方々から親しみと尊敬を集めている神の器です。理事・評議員と共に、今後の日本聖書協会の歩みを導いてくださることを期待しています。

2021年に入ってもコロナ禍の影響が各分野で続いています。さまざまな予定や企画は立案できないままであり、海外の聖書事業支援は困難な状況に置かれています。諸教会においても活動が制限されたままです。今こそ、みことば・聖霊・祈りによる神の恵み・希望・助けをいただいて、嵐の中をも心萎えずに歩んでいきたいと思います。お互いのためにぜひ祈り合いましょう。

主の平和

2021年2月4日