聖書通読を通しての神の恵み

『聖書 聖書協会共同訳』が完成し、三年目の春を迎えます。現在「教会備え付けキャンペーン」が行われていますが、コロナ禍の中でも徐々に、諸教会とミッションスクールなどでこの新しい翻訳聖書が採用されるようになりました。今後も広く用いられることを願ってやみません。

さて、この翻訳完成直後の2019年1月8日から、共同でビルを運営・管理している「銀座・教文館」の渡部満社長の提案で、教文館、日本聖書協会二社の有志による「聖書を読む会」を始めました。毎週火曜日から金曜日の朝8:45-9:00の時間帯に教文館の会議室に集まり、聖書通読(輪読)を行うというものです。

私が総主事に就任する前からさまざまな出来事がありました。就任後一番の試練は、一年前の4、5月の「新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言」でした。教文館も聖書協会もその影響を受け、運営や経営において厳しい試練のただ中に置かれました。その時にもほぼ休みなく、この会は地道に継続し、約2年と1か月(合計120時間)をかけて、旧新約聖書と旧約続編のすべてを読み通しました。幸いにも開始から2021年2月3日の通読完了時まで、メンバーは一人も感染をせずに完走することができました。

平和の時と試練の時、その両方の時期に聖書を共に輪読し、み言葉を聴き続けました。私たちにとってそれはとても特別な時となりました。辛さや緊張が続く時期に、朗読し聴いた数多くの聖句は、すでに何度も読んで知っているものでしたが、これまでにない響きを得ました。

「私は主、あなたの神。あなたの右手を取って「恐れるな、私があなたを助ける」と言う。」(旧約聖書:イザヤ41:13)

「あなたがたを襲った試練で、世の常でないものはありません。神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えてくださいます。」(新約聖書:1コリント10:13)

「子よ、主に仕えようと思うなら、自ら試練に備えよ。心を正して耐え忍べ。災難の時に慌てるな。主に依りすがって離れるな。そうすれば、お前は誉れのうちに生涯を終える。...主を信頼せよ。そうすればお前を助けてくださる。お前の道を正し、主に望みを置け。」(旧約続編:シラ2:1-3,6)

新型コロナウイルスによるパンデミックは、これまでに経験したことのない大きな災いです。皆さんもそうだと思いますが、1995年の阪神淡路大震災や2011年の東日本大震災のような災害とは全く異なった性質の苦しみを経験しています。何度も聖書通読中に、み言葉によって、慰め・励まし・気づき・悟り・忠告などを得ました。そして参加者は無言の中でもお互いが通っている試練を覚えながら、祈り合い・支え合っていたと思います。それらすべてを通して、お互いの間の絆と信頼を養うことができたことが、最も大きな恵みでした。

日本聖書協会は聖書通読のお勧めをしています。教会で主催し、聖書通読リレーを完走したグループには「通読認定書」をお送りしています。ぜひ私どもの新しい「聖書協会共同訳」を用いて、これからチャレンジしてみませんか。完走の際はぜひ写真と感想文などをお送りください。それをホームページなどに掲載し、SNSでも紹介したいと思います。そしてその喜びを多くの方々に分かち合えれば幸いです。

主の慈しみはとこしえに。

2021年3月3日