はじめての経験

今年の1月から始まった新型コロナウイルスによる世界規模の危機は時がたつにつれて深刻さを増しています。人間を死に至らせる感染症の危機という状態から、失業・倒産・社会崩壊という世界経済の危機という状況に移り変わってきています。戦争で目にみえるものが破壊されていくのとは異なり、町の街灯が消え・客足が途絶え・暖簾を下ろすという事態にまで至る。それが不景気で起きるのではなく、人々が自由な移動や経済活動が制限されて起きている。多くの私たちが経験したことのない歴史的出来事となっています。

日本聖書協会(JBS)も例外ではなく危機に遭遇しています。

・2020年2月以降開催予定の国際会議・懇談会・セミナーなどすべての集会を中止または延期。
・聖書協会の理事会だけでなく、出版業界関係の会議などの中止。
・行政や他の企業との重要なアポイントメントが中止。
・書店などの小売業も自粛要請により業務縮小・一時閉店。
・職員の在宅勤務、実際の業務活動の制限。

本社のある銀座はその華やかさが影を潜め、人通りがまばらとなりました。JBSと共同でビルを運営管理している教文館も臨時休館となり、平常時の業務が全くできないようになっています。まさに第二次世界大戦以来の未曾有の危機です。2020年、東京オリンピックの準備をしている最中、このような試練を通ることになるとは正直想定していませんでした。JBSも同様に奮闘しています。

そのような状況下で、今私たちは聖書協会のミッションである「みことばをすべての人に」を再確認・再構築し、そこにしっかり立った経営と活動に取り組んでいます。コロナ禍下でも新しい翻訳である「聖書協会共同訳」を教文館の有志の方々と共に聖書通読をしています。また、インターネット時代にふさわしく、SNS(Facebook, Twitterなど)を通して具体的にみことばを配信しています。今後はYouTubeの動画配信にも着手したいという目標を掲げています。

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さて、コロナ禍はさまざまな課題を突きつけました。数年先たくさんの事が大きく変化するでしょう。JBSを含む出版業界は大きく揺れ動くと思います。けれども、私たちはそれに対してまず変わらないものに目を留めるべきであると。それが、昔も今も変わることのないみことばであり、すべての人に希望を与える聖書だと信じています。そのみことばを、今の時代にふさわしい方法で、世に送り続けることに従事していく。そこにこだわる聖書協会でありたいものです。

「あなたがたを襲った試練で、世の常でないものはありません。神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えてくださいます。」(1コリント10:13)

多くの人々にとって感染病のパンデミックははじめての経験。けれども歴史上同じような感染病による出来事はあったのです。人間はそこで苦しみ、そして耐え抜いてきたのです。神様はこの時代を生きる私たちにも、かならず脱出の道を備えてくださっていると信じ、共に祈り、励んでいきたいと思います。

主の平和。

2020年4月23日